開業したり、会社を設立したりするときに、事業内容によっては事前に許可が必要な分野もあります。きちんと手続きをせずに事業を行っていた場合は、法律や条例によって罰則を受けることもあるので、自分が立ち上げようとしている業種は許可が必要かどうかを、しっかりと事前に確認しておきましょう。
そこで、このページでは創業時に許可が必要な業種と、その手続き方法について解説していきます。
創業時の手続きについてはこちらの記事で解説しています!
「許可」「認可」「免許」「届出」「登録」について
事業を始めるのに「許可」を得るために手続きが必要といいましたが、厳密にいうと、これらは「許可」「認可」「免許」「届出」「登録」の5つに分類されます(まとめて「許認可」といわれることもあります)。
もともと禁止されていることを手続きすることによってできるようにする「許可」、業務を行うために必要な資格があると証明する「免許」など、細かい内容はそれぞれ違いますが、「事業を始める前に『事業を始めていいですよ』と許可を得るための手続きを行う」という点はどれも同じ[1] 。事前にきちんと手続きを済ませておきましょう。
開業・会社設立時に許可が必要な業種
開業や会社設立時に許可が必要な業種は1000種類以上。飲食業や建設業、介護事業、理容業、運送業など、その種類も多岐にわたるので、事業を始める前に自分の業種が対象になるかを確認しておきましょう。その中でも、代表的な業種は以下の通りです。
・飲食業
・酒類の製造、販売
・ドラッグストア
・医薬品販売業
・建設業
・電気工事業
・不動産業
・人材派遣業
・タクシー業
・自動車運転代行業
・理容業
・美容業
・マッサージ業
・旅行業
・旅館業
・住宅宿泊事業
・貸金業
・倉庫業
・質屋業
・中古品販売業
・探偵業
・保育園
・ペットショップ など
※上記はあくまでも一部
これらの業種は、開業や会社設立をするときに事前に許可を得るための手続きが必要です。また、書類の提出先も「保健所」や「警察署」「税務署」など、業種によって窓口が異なるため、自分の事業について「○○(業種) 許可 手続き先」などのワードで確認してみてください。
なぜ許可が必要なのか?
そもそも事業を始めるのに、なぜ許可が必要なのか。先ほど紹介した業種をみてもらうと分かると思いますが、対象となる事業が事業者や利用者の安全、健康に関わるものであることが理由の一つ。
例えば、飲食店がきちんと食品衛生責任者を置かず、ずさんな衛生管理をしていれば利用者が食中毒を起こすかもしれない。建設業者が建設業法に違反する働き方をして、従業員が怪我をするかもしれない、などのことが想像できると思います。
これらの危険を回避するためにも、事前にきちんと事業内容の審査が行われているということです。なお、無許可であることが判明すると罰則を受けることになります。
飲食店の場合、無許可で営業をすれば2年以下の懲役または200万円以下の罰金。建設業が無許可で工事を行えば3年以下の懲役、または300万円以下の罰金が課せられるので注意しましょう。
許可を得るための手続き方法
先ほども紹介したように、事業の許可を得るための手続き方法や窓口は業種によって異なります。例えば飲食店だと、保健所に営業の「許可」を得るための手続きが必要です。大まかな手続きの流れは以下の通り。
①事前相談
②営業許可申請
③施設検査
④営業許可証交付
⑤営業開始
事前相談では、保健所へ店舗の設計図面などを持参して、店舗の設備が基準に合っているかどうかを確認してもらいます。基準を満たしていなければ営業許可が下りないので、事前相談は店舗の工事を行う前にしておくことをおすすめします。
その後、申請書や店舗の図面などの必要書類を提出する「営業許可申請」を行うと、保健所の担当職員立会いのもと「施設検査」を実施。検査に合格すると営業許可証が交付され、晴れて営業を開始できるようになります。
許可に関する手続きは、ただ「書類を提出して終わり」というわけではなく、飲食店のように店舗の設備が基準を満たしているかなどを調べるための施設検査が実施される業種もあります。
自分の始めたい事業に、どんな手続きが必要なのかを事前に調べておくことはとても重要。事業の構想を練る段階で、自分の事業について「○○(業種) 許可 手続き」などのワードで調べておくと安心です。
まとめ
開業したり、会社を設立したりするときには、許可が必要な事業もあります。無許可で営業していることが分かれば、法律や条例により罰則を受けることになり、「知らなかった」では済まされません。必要な手続きをきちんと行い、事業を始めるようにしましょう。
なお当事務所では、創業時の認可についてのご相談も承っています。「こんな事業を始めたいけれど、どんな許可を得る必要があるのか」「手続きについて分からないことがある」など、ご不明な点があれば、どうぞお気軽にお問い合わせください。
次回は、創業時に受けられる政策公庫の創業融資について解説します!