新しく事業を始めるときに、開業資金を調達する必要があります。開業資金を貯めてから創業するというのも一つの方法ですが、手元に資金がなくても融資を受ければ事業を始めることも可能。国や地域の自治体では、「創業したい」という方を支援するための制度がいろいろあるので、事業を始める前に確認しておくことをおすすめします。
中でも「日本政策金融公庫」は国が100%出資をしている公的金融機関。民間企業のように倒産する心配がなく、創業前や創業間もない事業者でも融資を受けやすいため、融資先の候補にしてみてはいかがでしょうか。
そこで、このページでは日本政策金融公庫を利用した創業融資の方法について解説していきます。
創業時の手続きがわからない方はこちらの記事をチェック！！
日本政策金融公庫とは
「日本政策金融公庫」とは、国が100%出資をしている公的金融機関のこと。民間の金融機関をカバーする役割をもちつつ、新規創業者の支援のほかにも、農林水産事業者、中小企業事業者の支援も行っています。
日本政策金融公庫で融資を受けるメリット
日本政策金融公庫のいいところは、国が出資している公的金融機関なので倒産の心配がないという点。
また、「お金を借りやすい」というのも利点の一つです。民間の金融機関でも創業融資を受けることはできますが、創業を考えている時点では経営実績がないため、民間の金融機関では創業融資の審査が通らない、というケースもあります。
一方、日本政策金融公庫は、「新創業融資制度」という新しく事業を始める創業者向けの融資制度も整っており、無担保・無保証人で3,000万円（うち運転資金1,500万円）まで借りることが可能。金利も2％前後と、民間の金融機関よりも低利率である点もメリットの一つでしょう。
「新創業融資制度」の融資を受けるための条件は、新たに事業を始める人、または事業開始後税務申告を2期おえていない人。そして、新たに事業を始める人、または事業開始後税務申告を1期終えていない人は、創業するときにに創業資金総額の10分の1以上の自己資金（事業に使う予定のお金）を確認できる場合に融資を受けることができます。
日本政策金融公庫で融資を受けるデメリット
日本政策金融公庫で融資を受けるときのデメリットは、審査に時間がかかる点です。民間の金融機関で融資を受ける場合、申請からおよそ1週間ほどで審査が完了します。
それに対して、日本政策金融公庫で融資を受けるときは、初めて申請する場合、申請から審査完了まで3週間ほどかかります。申請する前に、事業計画書などの資料を用意することなどを考えると、入金までは長く見積もって1ヶ月から1ヶ月半ほどかかると思っておいた方がいいでしょう。
参考：日本政策金融公庫ホームページ（https://www.jfc.go.jp）
日本政策金融公庫で融資を受けるための手続きの流れ
日本政策金融公庫で融資を受けるための手続きは、以下の通りです。
①事前相談
②申し込み
③担当者と面談
④審査（融資可否決定）
⑤融資開始
それぞれの流れについて詳しく解説します。
事前相談
日本政策金融公庫で融資を受けることを決めたら、まずは事前相談の申し込みをすることをおすすめします。申し込みは窓口（https://www.jfc.go.jp/n/branch/index.html）や郵送、ホームページ（https://www.jfc.go.jp/n/finance/flow/goriyou.html）から可能。融資や手続きについて分からないことがあれば、ここでしっかり聞いておくと安心です。
相談は支店窓口やオンライン、商工会議所、商工会、生活衛生同業組合、都道府県の生活衛生営業指導センターなどでも行われているので、お好きな方法を選択してください。
申し込み
事前相談が終わったら、申し込み書類を用意しましょう。必要な書類は以下の通りです。
・借入申込書
・【個人】最近2期分の申告決算書（申告されている方）
・【法人】最近2期分の確定申告書・決算書、最近の試算表（決算後6ヵ月以上経過している場合または事業を始めたばかりで決算を終えていない方）
さらに、初めて申し込みをする場合は以下の書類が必要です。
・創業計画書（新たに事業を始める方または事業を開始して間もない方）
・企業概要書
・【法人】法人の履歴事項全部証明書または登記簿謄本
・運転免許証またはパスポートのコピー
・許認可証のコピー（飲食店などの許可・届出等が必要な事業の場合）
担当者と面談
申し込みが終わったら、融資担当者との面談があります。ここでは、資金をどのように使うのか、事業計画はどうなっているのかなどについて聞かれます。融資の可否が決まる面談なので、きちんと質問に答えられるように内容を練っておくのがポイントです。
審査（融資可否決定）
面談の内容や提出した書類をもとに融資の審査が行われます。面談から審査完了までは10
日から2週間ほど。民間の金融機関よりも日数がかかるので、融資を希望する場合はできるだけ早めに手続きをしておきましょう。
融資開始
無事、審査に通れば融資開始です。実際にお金が振り込まれるのは、審査完了から10日ほどかかります。なお、返済は原則として月払い。契約に則って、月々の返済をしていくことになります。
まとめ
「こんな事業をやってみたい」というアイデアはあるけれど、手元に資金がない。そんなときは「融資を受ける」のも一つの方法です。特に、今回紹介した日本政策金融公庫は、創業者支援に力を入れている機関。創業についての無料相談も行っているので、ぜひ利用してみてください。
また当事務所でも、創業融資についてのご相談を承っています。「どんなことから始めればいいのか」「手続きについて分からないことがある」など、ご不明な点があれば、どうぞお気軽にお問い合わせください。
