創業前や創業してから人を雇うことを考えているのなら、「ハローワーク(公共職業安定所)」を利用するのも一つの方法です。ハローワークとは、厚生労働省が管轄している機関。全国500カ所以上にあり、就職支援や雇用の促進を目的とした活動を行っています。
そんなハローワークでは求人票を作成すれば、無料で人材募集を行うことも可能。また、ハローワークを通して人材雇用を行うと、助成金がもらえる制度もあるので、うまく活用すれ採用にかかる経費を抑えることもできます。
そこで、このページではハローワークで人材雇用の募集をする方法と、助成金制度について解説していきます。
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ハローワークで人材募集をするメリット・デメリット
ハローワーク(「公共職業安定所」「職安」と呼ばれることもあります)といえば、就業支援を行っていて「仕事を探しにいくところ」というイメージをお持ちの方もいるかもしれません。もちろん職業支援や就職に必要な技術を身につける職業訓練も行っていますが、事業者側として利用する場合は、人材募集をすることもできます。
ハローワークで人材募集をするメリット
ハローワークで人材募集をする最大のメリットは、「コストがかからない」という点。通常、求人サイトで人材募集を行うときには求人を掲載するときや、採用が決まったときに手数料としてお金を払う必要があります。
その点、ハローワークは無料で求人が出せるので、採用にかかるコストを抑えられることが可能。またハローワークを通して雇用が成立すると、国から助成金がもらえる場合もあります。このように、採用に関する助成金制度が整っている点もメリットの一つでしょう。
ハローワークで人材募集するデメリット
ハローワークは無料で掲載ができるメリットがあるものの、求人票のフォーマットが決められているので、ほかの求人と差別化しにくいのが難点。そのため求める人材と条件が違う人が応募してくるなど、なかなか採用に繋がらず、採用までに時間がかかってしまうケースも。
採用のミスマッチを防ぎたいのなら、求めるターゲット層が集まる媒体に求人を掲載した方が効果的です。「応募者は多かったのに、面接しても一人も採用できなかった」ということも考えられるので、採用にかかる費用対効果を考えておくことも大切でしょう。
上記のようなメリット、デメリットを考慮した上で、ハローワークを利用するかどうかを検討してみてください。
ハローワークでもらえる助成金
ハローワークで人材募集をするメリットの一つとして、「助成金がもらえる」という点をあげました。具体的にどのような助成金がもらえるのか、その一部を紹介します。
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)」は、無期雇用契約することを前提に、一定の試用期間を設けて人材を雇う事業主向けの助成金です。お試し期間を設けることで、求職者が「働く会社はどんなところなのか」「仕事内容は自分に合っているか」などを知ることができるので、入社してからのミスマッチを防ぐことが可能に。
助成金の条件は、「ハローワークの紹介により雇い入れること」「原則3ヶ月のトライアル雇用をすること」「1週間の所定労働時間が規定を満たしていること」など。この制度を利用すれば、事業者側は支給対象者1人につき月額4万円の助成金がもらえます。
参考:厚生労働省「一般トライアルコース・新型コロナウイルス感染症対応(短時間)トライアルコース」
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/newpage_16286.html)
特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)
「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」は、60歳から64歳の高年齢者や障がい者、母子家庭の女性など、指定の就職困難者を雇った場合に支給される助成金です。
支給額は30万から240万で、助成期間は1〜3年。対象になる労働者の類型や、企業規模によって支給額や助成期間が異なります。
参考:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/tokutei_konnan.html)
キャリアアップ助成金(正社員化コース)
「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」は、非正規労働者を正社員として雇用する場合に支給される助成金です。期限付きの契約から正社員として雇用することになれば、1人あたり57万円が支給されるなど、助成金の支給額が大きいのも特徴。条件によって支給額は変わるので、詳細はホームページで確認してみてください。
参考:厚生労働省「キャリアアップ助成金」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html )
ハローワークで人材募集をする方法
ハローワークで人材募集をするための流れは以下の通りです。
①事業所情報の登録
②求人票の作成
③ハローワークの窓口で内容確認
④求人情報の公開
⑤採用選考
それぞれの項目について詳しく解説します。
事業所情報の登録
ハローワークを通して人材募集をするためには、まず事業所の所在地を管轄するハローワークで申し込みを行い、事業所の登録をしましょう。申し込みはハローワークの窓口で仮登録、本登録を行う方法と、事前にインターネットから仮登録を行い、そのあとハローワークの窓口で本登録を行う方法があります。
求人票の作成
事業所情報の本登録が終わったら、次は求人票を作成します。求人情報も事業所情報の登録と同じく、仮登録が必要。求人票の作成は、ハローワークの窓口かインターネットからできます。
ハローワークの窓口で内容確認
仮登録された求人情報は、ハローワークの担当者が内容を確認します。初めて求人情報を登録したときには、担当者が事業所を訪問したり、電話で内容を確認されることも。担当者のチェックが終われば、求人情報の本登録が完了となります。
求人情報の公開
本登録が完了すれば、ハローワークインターネットサービスで求人情報が公開されます。ハローワークの窓口へやってきた求職者にも、条件に合う人がいれば就職先の候補として紹介されることもあります。
採用選考
登録した求人に対して紹介希望者がいれば、ハローワークの窓口やハローワークインターネットサービスのマイページへ連絡が入ります。面接日の調整や先方への連絡を行い、採用面接の日程調整を行いましょう。
参考:ハローワーク「求人申込み手続きの流れ」(
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/enterprise/job_offer01.html)
まとめ
創業する上で、事業拡大や専門の職人が必要などの理由で人を雇う機会もあるかと思います。人材募集をするときには、無料で利用できるハローワークで、助成金制度の活用も視野に入れて求人を出してみてはいかがでしょうか。
なお当事務所では、創業に関するご相談を承っています。「こんな事業を始めたいけれど、どんな手続きが必要か」「採用時の補助金制度について教えてほしい」など、ご不明な点があれば、どうぞお気軽にお問い合わせください。
次回は、求人サイトで人の採用をする方法について解説します!